今年もあと1ヶ月

  時間はあっという間に過ぎていく。今こうしてスマホをいじって文字を打っている時も、遠慮なく時間は経っているし、もう決して返ってはこない。1秒も。もちろんだけど、だれも「この瞬間も1秒ごとに時間が経っているんだなぁ」なんてしみじみ浸りながら生活はしていないだろう。ふと気づけば、自分が後戻りできない場所にいる。あの時苦しかったけれど乗り越えたら一瞬だった。そんなふうに、冷静に自分を見つめ直すときに、時間を意識してしまう。あの頃の自分とどう変わったのか。確認して、納得しないと次に進めないから。無駄にしたこともある。どうしてあの数ヶ月、こんなことで悩んでお腹を痛めていたんだろうとか。襲いかかる膨大な時間によって、それらの悩みは粉砕され灰燼となった。わーい。問題は時間が解決してくれる、とよく言われるけれど、あながち間違ってはいないと思う。ただ、それは勝手に時間が解決しているわけではなくて、それはただの踏み台でしかなくて、自分自身が変われるかどうかだから。自分が変わらなければいくら時間が経ったって、永遠にその場所にとどまっているはずだ。私はそんなの絶対に嫌だ。

  生活が落ち着いている。きちんと食べているし、お仕事もこなしている、身だしなみもちゃんとしている。恋人も優しくて友人も知り合いもたくさんできた。幸せを噛みしめると、それがいつかなくなってしまうかもしれない恐怖で、自分からぶち壊すという悪循環を繰り返していた日々よ、さようなら。

  冬になると布団からなかなか出られなくて、出勤時間の20分前までうずくまっている。運良く50分前に起きられたときは、土鍋で味噌煮込みうどんを簡単に作って、好きな録画番組を見ながら食べている。お腹も心も温まるから、私は鍋やうどんが大好きなんだけど、ひとりで寒い部屋の中食べていると妙なわくわく感がある。私はひとりを楽しんでいるな、というのが自分でもわかるのだ。今まであんなに孤独を嫌っていたのに、寂しがっていたのに。成長したなぁ、と自分を褒めてあげたい。そしてもっと自分が納得できるような自分になりたい。完璧な人間なんて絶対にいないけど、理想とする人物像に少しでも近づく努力をすることは大事だと思う。

  躁鬱の躁状態でこんな文章を書いたら、鬱の時の自分が見て殺したくなるんだろなーという考えは置いといて。私は、今年も最後まで自分を愛し抜くよ。

1人のご飯

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    寒いからあたたかいものがたべたいと、恋人に買ってもらったひとつ200円の一人用土鍋で、野菜と肉を煮込んだ。鍋敷きがないからルーズリーフを敷いているあたり、自分の適当さが伺えて笑える。きちんと朝昼晩おいしくご飯が食べられて、愚痴をこぼせる相手がいて、ふかふかの布団があって…満たされる環境は気づけば自分で作り上げていっていた。こうすれば自分は苦しくないんだ、こうすれば救われるんだと、自分から周りを少しずつ変えていけば幸せになれるよ。幸せだって感じられる。

    ぴりりとした冷たい空気も、かじかんだ手のひらも、赤くなった耳も、ぜんぜん平気。これからもっと寒くなるんだよ、大丈夫なのって笑われた。大丈夫じゃないからずっと手を繋いでいてほしいし、寒くなったら温かいものを一緒に食べてほしい。あまり多くは求めないつもりだけど。

    明日から11月だね。今年もあっという間に終わっちゃう。寂しい。

一歩として

 

    もう10月がやってきていた。金木犀の香り、秋のやわらさ、私の好きな朝。1年前はこの朝が死ぬほど怖くて、台所の包丁は常にガムテープでぐるぐる巻きに固定してあったり、過呼吸と鬱と摂食と不眠でもう自分がなにを背負っているのかわからなかったり、絶望しかなかったな。それでもこうして自殺しなかったのは、あるいは、それを試みたけど失敗してきたのは、なんらかの力が私を生かしているのかもしれない。たとえばそれは、だれかに愛されたい貪欲さだったりする。

     一度でいいからきれいに愛されてみたかった。

     母から向けられたいびつで、とても逃げ道のないような必死な愛とは違った、そして別れてきた恋人や友からのプレパラートみたいな薄い愛とも違う。私はいつだって全力なのに、明らかに違う熱。そこにどうしようもなく苛立ちを感じるときもあったね。

    優しくされたい、甘えてみたい、わがままを言ってみたい、構ってもらいたい、私だけを見て欲しい。そんな要求を相手にし続けたら壊れちゃうのはわかっているのに、どうしてだか、お願い受け止めてってお腹の底から叫びたくなる。そんな相手が次々と代わっていくなかで、もう自分のこのどうにもできない渇きは、一生満たされないんだなとわかった。

    だけど、私は、それでも人を愛してしまうし人が好きだし一人が嫌いだ。

 

    恋人と来年一緒に住む予定なので、不安ももちろんありながらも、ゆっくりお互いのことを想い合うよう努力している。

    嫌だなと思ったら今まで関係が壊れるのが嫌でずっと我慢してきたけれど、彼とは長く続いていきたいので我慢をあまりせず、素直に伝えるようにしている。今までの私からだと考えられないことだ。

    彼も自分が悪かったなと思ったら謝って、正そうとしてくれる。根本的な性格が直るわけではないから、お互い、欠けているところもあるよねと妥協しながら。うまくやっていけているとは思う。一歩ずつ踏み出して、相手の心を思いやっていけばこんなに人との付き合いって楽なんだなと実感した。一方通行だったから、今まで。

    一緒に住むことにまだまだ不安はあるし、まだ体調が悪くて起き上がれないときもあるけど、少しずつ幸せになれればいい。 

 

 

 

「もっとよかせのこと守らなあかんな」

 

「いやぁ、じゅうぶんやで」

 

「泣かせてごめんね」

 

「泣いてねーし、ハバネロだし」

 

 

そんな自分を好きになる

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  ちぎって浮かべたような雲も、彼らの行方を知らないだろう。涼しい風も、私の気持ちを動かしてくれるわけではないし。誰も優しくはない。

  けれど、おかげで、上を向いて歩くことができた。

  最近眠れなくて、夜の、退屈を噛みながらただすぎるのを待つ日々が続いている。溶けそうな闇を眺めても、自分がそこに吸い込まれそうになる感覚がしてうまく息が吸えない。

  眠たいのだけど。

 

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  お供え物の巨峰を、食べてもいいよと祖母に言われて子どものように、ぷちん、ぷちん、と噛んだ。甘いし、粒が大きいし、なにより冷たい。お腹を満たして、昨夜は早々に布団に潜り込んだ。眠れないと思っていたけどいつのまにか寝ていたようで、日付が変わってすぐに起きてしまったけど。

  

 

 

眠る毒

 

  明日への期待が無さすぎた。いつも通りの日々。朝方のベランダ、散歩している人たちを見下ろしては、指で作った丸で彼らを囲む。私たちは今、繋がっている。

 

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  はじけとび、散っていく様を綺麗だと言う。音の割に繊細な完成品は、一瞬で、けれど永遠に心に残っている。

  最近眠れないことが多い。眠れても、何度も目を覚ましてしまう。私の頭の中に何かが住み着いている、とすら思う。でていけ、でていけ、と頭を叩くけど彼らは息を潜めてこっちを見ている。

 

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 恋人とのセックスを録音して、誰もいない時に聞いてみる。私の知らない私の声。余裕のない感じ。もうひとりの自分。ああ、変態だ。と思うと自分の中に何か決してゆるぎないものがあるのだと錯覚する。私は変態やねん、なぁ、変態やねん!

 

  

本当の僕じゃないのなら

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 どうかお願いします。私の嘘が彼にばれませんように。もっと満たされたいという気持ちは、彼にとってきっと重たいものだから。だから、電話したいと言っても「昨日もしたのに!」っていうのでしょう。いつでもしてきていいよって言ったのはきみなのに。私は、不安定なの。きみの言葉で、それも何気ない一言で、ぐらつき、落ちて、そこへ沈む。前ほど私を見なくなったね。愛しているなんて、気持ちがなくても言えるのよ。

 

 私と恋人はラブラブです。

 

 

じぶんと友達になる

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  塩素の匂いのする更衣室。肌にピタッと張り付く水着。足の裏に伝わる湿ったタイル。響く子供たちの声。プールサイドぎりぎりまで張っている水に足をいれて、軽く蹴ってみる。あまりにも軽やかで、抵抗がない。なるべく波立たぬように潜る。水中で息を吐くと、あぶくが生まれて、皮膚にひたひたと吸い付く。くすぐったいので、なんどもやってしまう。子どもみたいだね。

  2時間、休憩しながら泳いだり歩いたりを繰り返して、シャワー室に行く。背中に容赦なくあたるお湯が少し痛くて、この瞬間が苦手でもある。受付横の自販機でアイスを買い、ぼんやりとソファに座って食べているあいだ、私はなんでここまできてこんなことをしているのだろうと、不思議に思うことがある。混んでいたら、車で片道30分はかかるのに。

  しゃり、とアイスをかじり、喫煙所でタバコを吸いながら近くをふらっと歩いてみる。夕暮れの蝉の鳴き声は頼りなくて、涙が溢れそうになる。桃色の空を眺め、私はここにいるよと誰かに訴えたくなる。大森靖子の曲は私を励ましてくれるけど、抱きしめてはくれないし。恋人はお酒を飲んでいる時間帯だから、来てくれるわけではない。今日という日を私は私と過ごしたんだ。

  どうせなら、もっと泳いでやればよかった。すべてが空っぽになるぐらい。自分を追い込めてやればよかった。

  夏が来た。