そんな自分を好きになる

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  ちぎって浮かべたような雲も、彼らの行方を知らないだろう。涼しい風も、私の気持ちを動かしてくれるわけではないし。誰も優しくはない。

  けれど、おかげで、上を向いて歩くことができた。

  最近眠れなくて、夜の、退屈を噛みながらただすぎるのを待つ日々が続いている。溶けそうな闇を眺めても、自分がそこに吸い込まれそうになる感覚がしてうまく息が吸えない。

  眠たいのだけど。

 

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  お供え物の巨峰を、食べてもいいよと祖母に言われて子どものように、ぷちん、ぷちん、と噛んだ。甘いし、粒が大きいし、なにより冷たい。お腹を満たして、昨夜は早々に布団に潜り込んだ。眠れないと思っていたけどいつのまにか寝ていたようで、日付が変わってすぐに起きてしまったけど。

  

 

 

眠る毒

 

  明日への期待が無さすぎた。いつも通りの日々。朝方のベランダ、散歩している人たちを見下ろしては、指で作った丸で彼らを囲む。私たちは今、繋がっている。

 

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  はじけとび、散っていく様を綺麗だと言う。音の割に繊細な完成品は、一瞬で、けれど永遠に心に残っている。

  最近眠れないことが多い。眠れても、何度も目を覚ましてしまう。私の頭の中に何かが住み着いている、とすら思う。でていけ、でていけ、と頭を叩くけど彼らは息を潜めてこっちを見ている。

 

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 恋人とのセックスを録音して、誰もいない時に聞いてみる。私の知らない私の声。余裕のない感じ。もうひとりの自分。ああ、変態だ。と思うと自分の中に何か決してゆるぎないものがあるのだと錯覚する。私は変態やねん、なぁ、変態やねん!

 

  

本当の僕じゃないのなら

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 どうかお願いします。私の嘘が彼にばれませんように。もっと満たされたいという気持ちは、彼にとってきっと重たいものだから。だから、電話したいと言っても「昨日もしたのに!」っていうのでしょう。いつでもしてきていいよって言ったのはきみなのに。私は、不安定なの。きみの言葉で、それも何気ない一言で、ぐらつき、落ちて、そこへ沈む。前ほど私を見なくなったね。愛しているなんて、気持ちがなくても言えるのよ。

 

 私と恋人はラブラブです。

 

 

じぶんと友達になる

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  塩素の匂いのする更衣室。肌にピタッと張り付く水着。足の裏に伝わる湿ったタイル。響く子供たちの声。プールサイドぎりぎりまで張っている水に足をいれて、軽く蹴ってみる。あまりにも軽やかで、抵抗がない。なるべく波立たぬように潜る。水中で息を吐くと、あぶくが生まれて、皮膚にひたひたと吸い付く。くすぐったいので、なんどもやってしまう。子どもみたいだね。

  2時間、休憩しながら泳いだり歩いたりを繰り返して、シャワー室に行く。背中に容赦なくあたるお湯が少し痛くて、この瞬間が苦手でもある。受付横の自販機でアイスを買い、ぼんやりとソファに座って食べているあいだ、私はなんでここまできてこんなことをしているのだろうと、不思議に思うことがある。混んでいたら、車で片道30分はかかるのに。

  しゃり、とアイスをかじり、喫煙所でタバコを吸いながら近くをふらっと歩いてみる。夕暮れの蝉の鳴き声は頼りなくて、涙が溢れそうになる。桃色の空を眺め、私はここにいるよと誰かに訴えたくなる。大森靖子の曲は私を励ましてくれるけど、抱きしめてはくれないし。恋人はお酒を飲んでいる時間帯だから、来てくれるわけではない。今日という日を私は私と過ごしたんだ。

  どうせなら、もっと泳いでやればよかった。すべてが空っぽになるぐらい。自分を追い込めてやればよかった。

  夏が来た。

夏の匂い

 時をかける少女を観て、やっぱり泣いてしまった。

 私がまだ小学生だったころ、テレビで放映されていたのを見て以来、この作品が好きだよ。青くて広い空、真白な制服、がむしゃらに走る主人公。どれもこれもが眩しくて、輝かしい。

 

 耳の奥をくすぐるような、小さい風鈴の音が私は好きだ。

 たまたま立ち寄った喫煙スペース。

 風に乗って漂う白い煙を見つめながら、その音をただ聴く。

 ああ、夏だ。

 夏がきてしまった。

 

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今日、生きた

  仕事も順調だし、天気は大雨だけど体調はいいし、サザエさんを録画するようになってから日曜日の憂鬱を感じることもなくなった。誰かに対して優しい言葉をかけられる余裕もできたし、些細なことで怒らなくなったし、少しずつ自分の中で自分と向き合えてるよ。誰かのためにじゃなくて自分のために生きなきゃいけないのよ。私を大事にできるのは私しかいないから。

 

 今、SNSで少し話題になっているけど、女子高生が自ら電車の走るホームに飛び込む様子を公開していたね。電車の音が近づくと、ぴたっと視線がそちらにむいて、それまで幼稚な言葉で話していた小さな口をキュッと結んでいた。ためらいもなく、ふわっとホームに飛んだ彼女の後ろ姿を画面越しに眺めながら思ったことは、実は少なくて。あとに残される者たちの不満の声や、嘆きや、煽りや炎上や弔いや悲しみをどこにぶつけたらよいのか、ということだった。

  残されたものは生きているから。時間は流れるから。その世界を見限ってしまった彼女に対する思いは、どこにも届かないかもしれない。背負うべき彼女がここにいないので。

  事故を目撃してしまった方や、遅延によりリズムを狂わされた人、同じような状況にあって心を痛めた人や、彼女の死を嘆く人。あまりにも人が多いから、どの声も間違っていないようにも思えてしまうんだ。

  たしかに優しい世界ではなかったね。

  いつも考える。今自分が死んだら、世界はどうなるんだろうって。だけどそこを考えていたらなかなか踏み切れないものもあったんだろうな。死ねなかったでしょう。今私がホームに飛び降りたら、どうなるかな、というところまで考えていたら、彼女はきっと死ねなかった。自殺を推奨しているわけでは決してない。でも、私も、死なせてくれと叫び泣いた夜を経験しているから、一概に「死ぬのやめなよ」なんて軽々しく言えない。

 

  今日、私は生き残った。

  生きることができた。

  だから、精一杯自分を好きでいられる。

疲れたね

 

 何が辛いのかよくわからないけど、とりあえず朝起きるのが辛い。仕事へ行くのも辛い。ごはんを作るのも辛いけどお腹はすく。ひどく苦しいだけの時間を、どうやってやり過ごしていいのかわからない。今日も、何もできなかったね。何もやらずに終わって、無意味な一日を過ごしたね。意味があれば、目的があれば、頑張れるのかもしれないけれど、それでもそれを見出すまで時間もかかるよね。私のことを大事にしてくれる人がいるのに、どうして悲しい顔をさせてしまうんだろう。私も大事にしているんだけどね。自分のことは大事にできないね。

 

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