しとしと落ちる

創作、雑多、日記

ハルウララ

 一時は半袖でも差し支えないほどの日和だったのに、なぜかガクンと気温が下がってしまって、鼻風邪を引いた。コロナに侵食されたおよそ1ヶ月後の出来事である。鼻づまりが治らず、頻尿も合わさって、夜中に目が覚めると寝付くことがますます難しかった。鼻を噛むと少量の鼻血がティッシュについて、朝の化粧の時間がおしてしまい、片方の穴にティッシュを詰め込み口呼吸をしながら準備していた先週。仕事も忙しすぎて、常にあちこちに気を張っていなければいけない状態におかれ、脳の血管が切れるのではないか、もしそうなったとしたらつぅーと静かに鼻血が垂れて、後ろに倒れるのかななどと馬鹿みたいなことを考えた。もしやこの鼻血は、血管がすり減っているサイン⁉︎

 そんなありえないことが頭に浮かぶほど忙殺されていた先週をなんとか乗り切り、「あなたたち、今このタイミングでそれを言いますか?やるのは私たちですよね」な発言をぶっかましてきた上司たちを想像上で殴り飛ばした今週を終え、なんとか。

 仕事を辞めた。

 そう、仕事を辞めたのである。それも円満退社。お子も私の解放感と清々しさが伝わっているのか、腹の中で大暴れしている。挨拶やらプレゼントの受け渡しやらを済ませ、やっと終わったという安堵と若干の寂しさを胸に、家に帰ってきた。もうすぐで9ヶ月になるのだが、準備という準備をほとんどしていない。西松屋で買ったものが部屋の隅にそのまま置かれている。

 正直にいうと、まだあまり実感はない。

 仕事を辞めたことも、腹の中にいる子が出てくるということも。私のことなのに、私自身の輪郭がぼやけているようになる。そんなので大丈夫かと問うけれど、誰だって初めてのことに不安は付き物だし、やってみないとわからないから。「お仕事お疲れ様。ゆっくり休んでね」と、私の鼻風邪がうつった旦那にぽんっと頭を撫でられた昨夜。とりあえず今は、ゆっくり休もう。6年間、お疲れ様でございました私。