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 江国香織さんの「ウエハースの椅子」を読んで、救われる夜がある。誰しもが幾度も感じたことのある孤独。それとどう向き合っていくのか。そのヒントがわかる気がする。恋人がいなくても、ちゃんとやっている。自分の足でちゃんと立っている。そう思うことは自信につながるし、私という人間の存在価値が確かにあると実感させてくれる。波のように襲ってくる不安と恐怖と焦りで、呼吸が上手くできない日もあるけれど、体を小さく丸めて目を閉じて「大丈夫だよ」と唱える。やりすごすことに慣れているのに、恋人ができてから、うまくひとりでいることができなくなった。誰かの温かみを知ってしまったから、それが無ければ生きていけないという錯覚を起こしてしまって、本当にしょうがないね。

 「安心したよ」という言葉をよくかけられる。「安心した元気そうだね」そのたびに嬉しいと思う反面、悪い癖で「もっと私のことを心配してほしい」という子どもじみた願望が顔を覗かせる。こんなに苦しいのだから、お願いだから、私のことを思い出して忘れないで、そして声をかけてほしいと。友だちにリストカットの写真を送ったり、声を荒げて手を上げようとしたり、いろいろなことをして恐れられていたね。出会い系で知り合った男を簡単に家にあげたり、もはや執着もクソもないセックスをして満足したりした。男友達に迫ったこともあるし、いるはずのない母親の姿を見て泣き叫んだこともある。ごめんなさい、汚くてごめんなさい。職場でも「死にたい」と言って先輩たちを不安にさせて、抱きしめてもらっていた。あれから1年も経っていないのに、まるで遠い昔の出来事のような気がしてならない。どこへいっちゃったんだろう。私が出会った人たちは、みんな、どこへ。