優しい白

f:id:yokase_oha:20180324134936j:image

 

 春は出会いと別れの季節だというけれど、そんな言葉で片づけるなバカ、と思っちゃう。別れだ、別れ。別れのほうが嫌に決まっている。正直、出会いなんてどうでもいい。私にとって、別れのほうが重要なのだ。みんなもどちらかといえば、そうだと思うんだけど、気のせいかな。

 暖かいので、散歩をしていた。

 散歩なんかしちゃってるわ、と思うだけで心が重たくなる。春だから。たまたま見上げたところに白い花が咲いてあって、すごくそれが気に入った。赤とか黄色とかピンクとかじゃない、白の花。春をまったく感じさせないこの花が好きだ。名前とかいつの花とか本当にわからないし、どうでもいいことだけど。別れがあるのはやっぱり辛い。囲まれて生きていきたい。安全なものたちに囲まれて、自分を守ってくれる頼りのある存在たちのなかで、揺られていたい。それは本当に自分勝手なことだってわかっているけど。どうしようもないことだって、わかっているけど。

 縁が切れたなとわかる瞬間がある。そしてそれは、べつに相手を嫌いになったとかそういうのではなく、なんとなく連絡を取らなくなったら、そのままフェードアウトした感じ。そういえば、いたわ、みたいな。そしてべつに自分から連絡をする要件もメリットも感じなくなって、いつの間にか相手のことを忘れている感じ。そんな痛くもかゆくもない経験だったら、安いのが。特別を求めないでほしい。村人Cぐらいの気持ちでいてほしい。そして憎まないでほしい。私は、思っているよりぼんやりしていて、虚ろげで、どことなく狂っている。