個人的に今年の漢字は

 恋人に「今年の漢字はなんですかね」と訊かれたので、数秒ゆるく考えた答えが「濃」だった。濃い。濃ゆい。とても濃くて激動で自分的に成長したのかどうなのかよくわからない。でも春ぶりに会った友だちに「なんだか元気になったね」と言われたので、もしかしたら、少しずつ、停滞と下降を繰り返しながらも前に進めているのかもしれない。突然やってくる鬱さんは、私をとことん追い詰めて、左腕に痣や傷を作ってしまう。本当はしたくないし、嫌なのだけど、そのときの私は水で濡れた紙みたいに破けていく自分の皮膚を、無表情で眺めることしかできない。じっと、ただじっと。そういうときにやってきた恋人は、布団で芋虫のようにくるまっている私を見て、無言でずいずいっと横に寝転び、ぎゅうっと力強く抱きしめた。

 私は自分のことについてだらだら話していて、涙と鼻水で彼の服をベタベタにするのもお構いなしで、頭のなかを空っぽにしたくて話した。「彼女が、精神科に通っているなんて、嫌じゃない?」泣きながらそう弱音を吐いた。彼は笑いながら「俺は気にしない。それに、そんな人いっぱいいるでしょう」と言ってくれた。

 「暴れるよ」「うん」「奇声もあげるよ」「うん。そういうとき、とめるね」この人の言葉は私を安心させてくれるので、ついつい甘えたになってしまう。薬を飲まないといけないのに、夕ご飯を食べることをしていなかったので、炊いていたお粥を食べさせてもらった。「あーん」という恋人っぽいものではなくて、介護のような感じ。私たちらしいねって言ったことは覚えている。とりあえず、睡魔に襲われているときの記憶があやふやで、なんだかぽやぽや言いながら眠った、そんな30日。

 31日と1日は彼と過ごす。誰かとお正月を過ごすなんてものすごく久々で、なんだかそわそわしてしまう。幸せを感じていいのかなって、本当に思ってしまうけど、「楽しかったらいいじゃない」とあっさり言われてしまって拍子抜けした。私は、怖がってしまうから。何もかも怖がって、自分からぶち壊そうとしてしまうから。それをするっと流して、包んでくれる彼との時間が、とても濃い。満たされていて、すごく尊い。この一年を振り返ろうとしたけれど、「そんなのしなくていい」と言われた(笑)なので、もう特に詳しく振り返ることはせず、私なりに前に進めたらいいなって。それを見守ってくれる人が今は傍にいるんだから。大丈夫だよね。