本音

 クリスマスが終わって、ほっとしていたら、もう年末が迫っていた。クローゼットの中を整理したり、普段は見過ごしがちな排水溝の掃除をしたり、埃を掃除機で吸ったりした。祖父母と恋人からいただいた、たっぷりの野菜と柚子があるので、年越しうどんやお漬物の心配はいらない。野菜をしっかり食べると、体にいいものを食べているようで、心が満たされる。食べるということは、生きるということ。私は、生きるために、しっかり食べる。

 皿洗いをしていると、「新婚さんみたいだね」と言われた。一瞬、手が止まって、どういう意図で彼がその言葉を発したのか、単なるからかいなのかと、頭が回転した。おそらく相手からしてみれば不自然さを感じない程度の間があって、私は笑顔で「そうね」と返す。手が、震えていた。私のすべてを受け止めると言ってくれたけれど、私のすべてをまだ彼は知らないし、見ていないし、感じ取っていない。どういう心の余裕があって、そんな戯言を吐いたんだろう。私は「好き」と言い合うたびに、そしてそれをセックスで感じるたびに、どうしようもなく一人になると不安になる。さっきまで同じ船の上にいたのに、私一人だけ、深い海の底に突き落とされた感じ。真っ暗で、音が聴こえなくて、ふわふわと体が浮いている。痛みを感じなくて、気づけば手首から血が出ている。現実味のない感覚。それが永遠に続くんじゃないかと思うと、発狂しそうになる。いや、すでに狂っているのかもしれないけど。

 幸せが怖くて、自分からそれをぶち壊そうとしてしまう。簡単に人を信頼してはいけないし、自分も心の奥の奥、本音は絶対に相手に見せてはいけない。それを上手に隠しながら泳いでいる。バカにしてくるやつらからの発言に傷ついたふりをしながら、関わりを絶った人間のことをゴミカスのように思いながら、私を褒めて、心酔して、突き放して、テキトーに、関わってくる人間だけでいい。重い気持ちをぶつけてこないでほしい。私は、すぐに折れてしまう。からっと笑える日もある。冗談を言い合ったり、軽い内容の話で盛り上がったりもできる。人間だから、感情に波があるのは当然だから。私は、きっと、普通だわ。