ひとりを楽しむ

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 恋人ができて、なんだか一人の孤独な時間がだんだんなくなっているので、あえてラインの通知を切っている。無性に寂しいくせに、どこか孤独を感じている自分を嫌いになれないので、たまにはそういう時間を欲する。そしてそれは悪いことではないと思う。恋人が煩わしいとか、そういうのではない。私はいつだって、私の時間を必要としているのだ。

 だからふらっと、紅葉を写真に撮ろうと思った。今年、紅葉をまだ一枚も写真におさめていなかったので、いい機会だった。

 落ち葉を踏む音が好き。寒いなか飲むコーヒーも好き。子どもの無邪気な笑い声や、ランニングをしている男性、落ち葉を掃除しているおじさんとおばさんを眺めるのも好き。日差しに照らされてキラキラと光る葉の先端。赤のなかに黄や緑や橙や青がある。鮮やかで、あたたかで、心地いい。

 でも寂しさを感じる。

 目的を達成して、ただその場に立ち尽くすことしかできない私は、とてつもなく孤独だ。

 前も後ろも落ち葉ばかり。空を見上げても、ぐっと伸びる木々の葉が私を囲んでいる。誰かに名前を呼ばれたような気がした。だけど、それは幻聴で、次に耳鳴りがする。それがおさまるまで、大丈夫と心のなかで何度も唱える。私はまだ大丈夫。

 自分の意見を言わないのは、自分を持っていないわけじゃない。私は計っている。他人との距離を。自分との距離も。そうしないと、私も他人も、私のことを受け入れられないから。感情をうまくコントロールできないぶん、周りにどう思われているのかまで考えが至らないから。私のことを私が一番わからないから。

 景色に溶け込めない自分がいる。周りから浮いて、ずっと漂っている私がいる。

 つなぎとめるために、ひとりを楽しむ。

 本を読んだり、映画を観たり、ピアノを弾いたり、歌をうたったりして、私は一人でも人生を楽しむ努力をする。みんな優しいから。みんな、私にはもったいないから。

 

「もっと頼ってええんで」

「それができたら苦労はないねんけどな」

「ほんまに、自分の意見、言わんのやから」

「すまんな。ぼく、そういうやつやねん」