なにが好き?

 私は、化粧をしているとき、ごはんを食べているとき、こういう日記を書いているとき、必ず小さめの音量で音楽を流している。べつにしっかり聴きこまなくてもいい。歌詞の意味とか浮かぶ情景とかを考えているわけじゃない。日常を少しだけ彩るために流している。でも、この選曲は私的にとても重要で、間違えれば昔を思い出して鬱になったり、変にハイテンションになったりと、心が忙しくなる。なので、なるべく思い出になっている曲(たとえば前の恋人の車でよく流れていた曲や、亡くなった友人から勧められた曲など…)は除いている。

 最近はもっぱら洋楽。Ed Sheeran、maroon5、Sia、Justin Bieber……etc。あと映画「Burlesque」で歌われている曲も。音楽は昔から好きだけど、洋楽を聴くようになるとは思ってもみなかった。静かなのもいい。咀嚼する音、ポーチを開ける音、タイピングの音……。でも、静けさに飲まれると孤独を感じるときがある。そこに音楽があるかないかで、気持ちの持ちようは多少なりとも変わってくる。少なくとも私は。状況は一変しない。でも音によって生活に彩りが加わるのなら、そっちの方がいい。英語で歌われる彼らの曲の意味を、自分からすすんで調べようとはあまり思わない。あくまで曲調、雰囲気が好きなのだ。でも、ひょんなことから歌詞の意味を知って、「これってこんな曲だったのね」と驚くことがある。しっとりしているのに刺激的なことを言っていたり、派手なのにピュアなことを言っていたり。歌詞そのままの雰囲気で曲を作ると照れくさいのかしら。

 

 余談ではあるけれど、周りの人間と好みが合うのってよくあることだ。好きなアーティスト、好きなお菓子、好きな男のタイプ、好きな映画……。相手と初対面のときは「なにが好き?」と、その人の好きなものを知ってから、その人を知っていきたい。好きなものを否定しない。もちろん、そんなこと誰ができるだろう。ときどき周りが驚くようなことを好きだと公言する人もいる。アブノーマルな性癖だったり、ちょっとしたフェチだったり、法的に触れる物事だったり!否定をしないように努めているけれど、理解はできない。「それでいい」と彼らは口をそろえて言う。「きみに理解される理由がないからね。それに、理解されなくても、きみとは友だちでいられる」素敵な彼らはフリーであり、ひとりを好む。大勢が嫌いなわけじゃない。でもたまに疲れるのだろう。みんな疲れている。「なにが好き?」「土曜日の夜」。