怒り

 雨の匂いがする。今日の朝、自然に目が覚めて、雨粒が地面に叩きつけられる音に、少しだけ憂鬱になった。雨は嫌いだ。出窓を網戸にしていたので、雨で濡れている。表情を変えずにタオルでそれを拭いて、洗濯機に放り込んだ。朝ごはんをモソモソ食べながら、壁に貼られたカレンダーを見て、今日が水曜日であると認識する。一週間が目まぐるしく過ぎていく。明日は木曜日か……と、まだ今日が終わってもいないのに考える。

 仕事は一瞬で終わる。もちろん仕事中は「まだお昼か」と思うことが多々あるけど、終わってしまえばあっという間なのだ。帰りも雨が降っていた。ああ、ラーメンが食べたいと思ったけど、疲れていたのでそのまま家に帰った。家に帰ってもラーメンが食べたかった。誘惑に勝つ。明日は、ラーメン食べようかな。

 昨日「怒り」を観た。ずっと気になっていたけど、映画館には忙しくて足を運べなかった。DVDを借りて、じっと見ていた。始まりから終わりまで、どこか薄暗く、灰色で、鬱々とした雰囲気があった。殺人事件をきっかけに物語が始まるからかもしれないが、観ていて気持ちのいいものではなかった。出演者の演技力に飲み込まれていく感じ。私の大好きな池脇千鶴さんも出演していたけど、いい姉御肌の役だった。個人的に広瀬すずさん役の幅が広がったと思う。彼女は、感情を爆発させたり、虚ろで怠惰な日常を送ったりする役も適任ではないのかな。

 愛子役の宮崎あおいさんが31歳だと知って、驚愕している。まだ十代のような若々しさ。私も髪の毛を愛子のように伸ばしてサラサラにしたいと思った。そして前髪はざっくり短め。容姿もそうだけど、愛子はとても純粋でそれゆえに不安定なところもあって、「どこか普通ではない男の人じゃないと、自分と一緒にいてくれない」みたいなことを言い出すから、心配になってしまう。折れそうな体だった。体温があるのかと疑いたくなるほど、冷たくて白い肌だった。

 見終わったあと、すぐに布団に入って眠りについた。気分は落ち込んでいた。朝になると、雨が降っていた。ああ、雨。「雨の日は嫌い」。