ペンペン

可愛いニット帽でしょう。お気に入りで、部屋にいるときでも被っていたいくらいなんだけど、さすがにどうかと思うのでやめておいた。雨が続いているので、お出かけをしない理由のひとつができて、少しホッとする休日。その傍らで、時間を持て余しているので…

つまらないね

雨ばかりでさ。 だけど袋をあけて、このパンを見たとき、「ああ、可愛い」って言葉が口から自然と出てきた。それだけで、希望に満ちている。私の生活は、希望でいっぱい、キラキラだ。ぜんぶ食べてしまって、この笑顔が私の体の一部になっているのなら、早く…

甘い物食べなきゃ

多くを考えすぎると疲れがたまるので、甘い物を食べながらダラダラしなきゃ。そう思ってあたたかい紅茶を飲んだ。フロリーングの床から足の裏に冷えが伝わって、あんなに寒かったのに、体の芯がいっきにぬくもった。つま先はどうだろうと思って触れてみると…

ぽっかり

朝方に何度も目を覚ます。ひどく怖い夢を見たせいかもしれないし、開いた窓からの風が冷たいせいなのかも。アイフォンのホーム画面を見ると4時だった。深く眠ることができず、それに苛立ちながら目を閉じる。時間だけが流れていく。きっと、10分も経ってない…

創作 「心のすきま」④

電話越しで答えに追いつかない質問をぶつけてくる両親への言い訳とか、子どもみたいに淡島に手をひかれて改札口を通るときの羞恥心とか、これからどうなるのかわからない賭けみたいな自分の人生とか、なんだかいろいろなことが、他人事のようだった。 電話で…

悲しいよね

本当に些細なことなんだ。友達との予定をキャンセルされただけのこと。課題が忙しいんだって。しょうがない。私には彼女の余裕の無さがわからないし、彼女の代わりに課題をやってあげることもできない。でも、楽しみにしていたの。本当だよ。楽しみにしてい…

子どもみたいに

島にきた。 のどかな波の音と、風と、光。ここには音がたくさんあるのに、やけに静かだと思った。静かで、生命力に満ちていて、力強い。透明の空気を吸い込んで、肺の底まで綺麗になれた気がした。 「こういうところで、ひとりで住んで、死にたい」と笑いな…

創作 「心のすきま」③

その男は、とつぜん、私の目の前に現れた。 貯金もそろそろ底をつきそうだったので、ガス会社だの電力会社だの面倒くさい数々の解約をし、大家さんにも連絡をしてアパートを出ていくことを話し、行くところも目的もないので、実家に戻るという苦渋の決断をし…

10月ですね

あっというまに、10月になっていた。薄い掛布団の中でくるまりながら、じっと朝がくるのを待つ。だけど窓を打つ雨音で、今日の天気が私にとって喜ばしくないものであると気づいた瞬間、一気に心がどんよりした。雨の日が好きな人には、申し訳ないのだけど、…

ゆらゆら

一人暮らしの浴槽は、少し狭いのが難点。 体育座りが基本の体勢。足を伸ばすことができない。

眠れないときは

恋人と10日間も連絡をいっさいとらないのは、もう、私たちの間では当たり前になっている。お互いにあまり興味がないというか、どこかへ行きたいというそれぞれの思いがなければ「週末ここに行こう」というラインもない。あくまで恋人なので、どうでもいいこ…

こういうのって

職場も友も祖父母もみんなが私のことを心配している状況に、正直に言うと、慣れないでいる。今まで、私のこの現状に対して心配されたことがない、とまでは言わないにしても、ここまで「死んでしまいそう」「失踪しそう」「生気がない」などと口をそろえて言…

創作 「心のすきま」②

キッチンを借りてもいいか、と美也子が訊くので、承諾した。持ってきたビニール袋から豚肉やゴボウ、ニンジンなどの野菜を取り出し、私の冷蔵庫を開けて「うわ、すっからかんね」と言いながら、味噌を溶いた。手際よく豚汁を作っている美也子の横顔を眺めな…

優しさ

タッパーと保冷剤をいきなり渡されて、「ん?」と目を合わせると、「ばぁちゃんが、おまえにって」と祖父に言われた。低くてしわがれた、落ち着いた声。お礼を言って受け取り、家の冷蔵庫に入れた。そのときは特に何も思わなかったけど、ひとりで、ぼんやり…

特になにも

苦しさや混乱が消えてくれているのは 、薬のせいだろうか。あんなに重くて、呼吸をすることすら痛みがあったのに、今はそれがない。 まだ、何をするにしてもよいしょがいるし、朝は起きられず、お昼前出勤だし、人の多いところに行くと震えるし、まず外に行…

どこに向かうんだろう

自分はいま、どこに立っているんだろう。どこに向かっているんだろう。心療内科に通って、薬局で薬を買ったあと、あてもなくそのへんの道を歩いた。パーキングエリアの料金を気にすることもなく、心にかかる黒い雲みたいなものを抱えたまま、歩いていく。 サ…

幼い頃、祖母と従兄弟と一緒に自転車で長い坂道を登ってお墓詣りに出かけた。墓石が何百とあって、そのうちのひとつに、祖母の両親が眠っていた。灰色の墓石の中にまぎれる、真っ黒でつやつやした墓石だった。「これだけあるのだから、ひと目見てすぐわかる…

そのまま

きえてしまうのかと

創作 「心のすきま」①

目が覚めると、とっくにお昼は過ぎていた。今日、何曜日だったっけ。仕事を無断で休んじゃった、と一瞬焦燥感で胸が締め付けられた。でも、一週間前に仕事を辞めたことを思い出して、パリッと硬直していた体が安堵してふにゃふにゃになっていった。目は開い…

台風の中、傘がなくて、無謀だけど飛び出した。出勤するのが嫌だったから、むしゃくしゃしていたから、思いきり雨を浴びた。昨日打たれた鎮静剤のせいで、右肩がかなり痛い。 コンビニで650円のビニール傘を買ったけど、なんだこれ、ぜんぜん役に立たない。…

カーテンを開けると、いつも通りの青空があって、眩暈がした。耳にこびりついた蝉の鳴き声にも慣れて、すっかり夏色に染まってしまった。この季節になると、バカみたいにポケモンGOをしてポケモンを乱獲していた去年の夏を思い出す。モンスターボールを投げ…

身近にある

4か月ぶりに友人と会った。彼女と知り合って、もう7年にもなる。見た目も中身もまったく変わっていない彼女に会うことで、目まぐるしく変化していった自分の周りの環境、そして自分自身の状態が、ぜんぶ無しになった気がする。安心するのだ。どれほど苦しい…

ひとりだし

アパートに住んでいる住民を、まだ一度も、ひとりも見かけていない。ベランダに吊るされた洗濯物、停めてある車、投函されはみ出しているチラシが、私以外にもこのアパートに人がいるということを決定づけている。 生活音が聴こえるたび、やっぱりほんの少し…

可能性

蝉の鳴き声で彼の声が聞こえない。何度も聞き返すのも面倒くさくなって、わかったふりをして適当に笑って頷く。 容赦なく照りつける日光にジリジリと肌が焼かれていく。嫌なので日焼け止めをしているけど、どうしても日焼けをしてしまう。それなのに「首焼け…

冷たいポタージュ

高校一年生からの腐れ縁の同級生と、カフェでおしゃべりをした。そのとき食べていた冷たいポタージュがあまりにも美味しかったので、正直、彼女との会話の中身をまったくといっていいほど覚えていない。 陰鬱な内容だったかもしれない。これからの人生をどう…

雨が続く

今週はずっと雨なんだって。 せっかく仕事から帰ってランニングをしようって思っていたのに。なんだか予定も狂っちゃって、ほんの少しガッガリ。 だけど、雨の日に聴く音楽とか観る映画っていいね。雨だからっていう理由で家に引き込まれるし。無理に外出を…

なにが好き?

私は、化粧をしているとき、ごはんを食べているとき、こういう日記を書いているとき、必ず小さめの音量で音楽を流している。べつにしっかり聴きこまなくてもいい。歌詞の意味とか浮かぶ情景とかを考えているわけじゃない。日常を少しだけ彩るために流してい…

怒り

雨の匂いがする。今日の朝、自然に目が覚めて、雨粒が地面に叩きつけられる音に、少しだけ憂鬱になった。雨は嫌いだ。出窓を網戸にしていたので、雨で濡れている。表情を変えずにタオルでそれを拭いて、洗濯機に放り込んだ。朝ごはんをモソモソ食べながら、…

今日

仕事から帰って、重い体を引きずりながら、シャワーを浴びる。暑いなかずっと外にいたので、肌が赤くなっていた。冷水をかけると、一瞬、息がとまって冷たさに体が慣れるまで待つ。そのあと体の力を抜く。 パンツだけ履いて、布団に倒れ込んだ。疲れがどっと…

朝の幸せ

出勤をする1時間前には必ず起きる。 起きてすぐにすることは、ツイッターやインスタグラムの徘徊。昼夜逆転の生活をしている者や、ニート、心になんらかの病を抱えている者、お洒落な毎日を送る者。私が好んで生活を覗き見しているだけ。もっとも、SNSに…